ミニ法話⑤

ミニ法話-川柳シリーズ第5回-

「ご飯よと 呼ばれて行けば ポチだった」


 お婆さんが隠居におられたときに、「ご飯よ」と言うお嫁さんの声が台所から聞こえてきたのでしょう。それで、「嫁が私のご飯を作ってくれたんだ」と思って台所へ出ていったら、犬のポチに「ご飯よ」と言っていて、自分の分は用意していなかったという状況がうかがい知れます。

 家の中に居ても存在が無視される。居っても居ると思ってもらえない。もしそんな状況ならこんなに寂しい辛い世界はありません。
 

 源信僧都の往生要集に、無間地獄(八大地獄の一つ)の教えがあります。「我今無所帰孤独無同伴」(我今帰るところなく孤独にして同伴することなし)
 「無間」とは関係が無くなっていくという意味付けがあります。人間は関係存在、間的存在と言われます。それが無くなると言うことは、まさしく喜びの無い地獄の世界なのです。

2018年03月03日